Liner notes

2015.5.31 Release

5th MiniAlbum

「ROUTE32 side-C」

 

ROUTE32 concept:

32歳になった現在の橋本康史がもう一度歌う。

 

地元名古屋での活動後期にリリースした「ルート26」のセルフカバーを軸に

新曲を交えてお届けするROUTE32シリーズの第三弾です。

 

ROUTEシリーズ最終章となる今作品は、橋本バンドフルメンバーでお届けします。

 

 

 
遅く起きた朝は

名古屋時代にリリースされた2ndアルバム「ルート26」に収録されていた作品。

今回、side Cにセルフカバーとしてリアレンジしました。

 

実はこの曲、1stアルバム「白紙ノート」にも収録されています。

なので、セルフカバーとしては2回目。

 

"またかよ!"

 

と思いますよね?

そうなの。

 

"またかよ!"なの。

 

僕が24歳から25歳くらいに書いた曲です。

 

 

"遅く起きた朝は、僕にどこか冷たい"

 

 

休日前夜。

 

独りで妙な気分になり、はしゃいじゃって。

黒々とした窓の向こうがグレーに移り、チュンチュンし始める。

 

明日は「お休み」なのに、早くも

 

"休みがもうすぐ終わるんだなぁ"

 

と寂しさが、ぼわ〜っと霧の様に部屋中に立ち込める。

 

 

平日の休日。

 

 

休日の前夜が一番のオフタイム。

オフタイムは無情にも闇夜に吸い込まれてゆきます。

 

火照った身体が寝苦しく、目が覚めたらそこは、休日の午後だった。

 

一人暮らしで、誰に怒られるでもないのに。

一日を。

すでに動いている世間から弾かれたような。

そんな思いを起きぬけに感じる。

 

良く寝たなぁ、と心で何度も呟き。

止まらない欠伸を、無駄にして。

 

 

脳が光になれた頃にはまた、闇夜の入り口が目の前に現れる。

 

 

折角の休日は、こうして終わってゆくのです。

 
Replay

「ルテンの空」のMVがクランクアップ。

編集後のDVDをデッキで拝見し、起伏の少ない僕が珍しく感動した。

 

その頃、周りでも何かと騒がしい事が相次ぎ、レコーディング、ライブ、曲作りのヘビロテな毎日。

 

 

「Replay」は、ライブ毎に新曲を作って当日限定で配るMeganeシリーズの中の1曲で、エレピで作曲しました。

イントロの手癖のピアノフレーズが特徴的。

なので、ベースはちょっと難しいため自分では不可と判断。

急遽、谷さんにお願いする事になりました。

 

 

"時間が戻れば良いのに  巻き戻せないレコーダー

今にも降り出しそうな雲行き Replayで動き始める"

 

 

どうしようもない結末って、世の中、山のようにあるわけで。

歳を重ねる度に強くなるのか、はたまた鈍くなるのか。

辛いなりにも、面と向かって歯を食いしばる術を、人は学ぶ。

 

仕方がないじゃ済まない事もあれば。

仕方がないよな…うん。とボヤく事が最善だったりする場合もある。

 

レコーダーのReplayを押すと止まっていた時間が再び動き始めるわけですが。

いざ押すのにもパワーと、それなりの理由が必要になりますよね。

僕の場合は大概、勢いがほとんど。

 

 

ただ、この様な場合。

 

 

"動き出した先"というよりも、"動き始める瞬間"を大切に捉えたい、と僕は思うわけです。

そこに爆発的な熱量を感じるのです。

 

 

"俺に触ると、火傷するぜ…"

 

 

いつ使うんだ?と兼ねてより悩んできたご存知のフレーズですが。

 

是非ともこの場面でご利用頂きたい。

 

 

その一瞬に、新たな宇宙が生まれている気がするのです。

 
moonglow

こちらもMeganeシリーズより収録。

 

 

サックスのノン(水野望)を全面的に押し出した、まさにAORのバラードって感じの作品。

1番のサビ直前のノンのサックスが一瞬だけフワッと残る。

 

 

あの"フワッ"が堪らない。

 

 

彼女のサックスは見た目とウラハラで、力強い。

でも、ただ力強いだけじゃない。

あのフワッとした余韻に僕が感じるもの。

哀しみとか寂しさ、とは微妙に異なる。

哀しみとか寂しさ、を受け止めたその先の、"やるせない切なさ"と言う言葉が、より近いのかもしれません。

ただ、これはあくまで、僕の印象ですが。

 

 

 

"Walking around...

手持ち無沙汰に 持て余したRight hand

Looking for mine...

ポケットの中で握る moonglow"

 

 

Outroの最後のフレーズ。

サックスの指の音が残って終わる感じが、また良いんだ。

 
MUSIC TOWN

橋本康史のシティポップと言えばやはり、この曲でしょう。

1stミニアルバム「5color's」収録の代表作。

25〜26歳の頃に書き下ろした曲です。

シュガーベイヴの"show"という曲にインスパイアされて生まれた曲です。

 

1stミニアルバムのレコ発ライブは名古屋は本山のカフェでした。

お客さんは、3人だった。

力を入れて作った作品だったので、かなり落ち込みましたよ。笑

 

MUSIC TOWNは僕が初めてシンセサイザーを導入した作品だった。

中古のKORGのシンセを見つけ、当時8千円で購入。

 

今なお、現役。

 

ただ最近は、ノイズが凄いのと、高音のドが出ない、といった不具合にみまわれております。

ツマミ式のアナログシンセだから、無二の音色なんだ。

音作りに時間はかかるけど、ライブと同じでグルーヴ感が出やすい気がするのです。

 

音色として、シンセ、エレピ、オルガン、ピアノ、などなど鍵盤を沢山盛り込んだ作品です。

また、サックスのソロが入り、よりニューヨークっぽくなりました。

 

本当は収録予定ではなかったんですが、ライブで演奏してみたらサックスが入った事でイメージが湧き、今回収録することにしました。

 

 

"MUSIC TOWN  キミの笑顔で誰かが救われる

LOVE  世界中の空を虹色に染めるよ"

 

 

MUSIC TOWNは沢山の思い出を作ってくれた貴重な曲です。

そんな僕も、この曲に救われた一人です。

 
小さなニューヨーク

ライブ毎にリリースしていた無料音源のMeganeシリーズより収録。

 

 

 

Bmaj7、F#maj7、Dmaj7

 

のみ、3コードで構成されています。

それでいて、この広がり。

やはり、3コードってのは素晴らしい。

 

 

アレンジとしても、ボーカルの入った、いわゆる"唄モノ"という概念は、はなから無く。

あくまでもコーラスでのアプローチ。

当たり前の事なんですが、"コーラスも楽器"という認識で普段から使用してます。

 

この曲は、各楽器がそれぞれにメインをはっています。

セッションの様なアプローチなのに、必然性のないフレーズは殆んど無く、果汁100%ジュースみたいになっています。

 

ノンちゃんのサックスがかなり良い鳴き方をしてます。

そして、響さんのギターも個性的なフレーズ。

二人の闘いを垣間見ることが出来て、かなりの熱気を感じる後半。

 

聴いていて、とても楽しい。

 

 

 

小さなニューヨーク、とは?

 

 

それぞれに連想するイメージがあるかと思います。

 

僕の中では、真夜中の西新宿〜都庁前。

あの辺りのイメージ。

 

ハイウェイをつたって西から真夜中の新宿に入ってくる。

少しずつ気温が下がり、街は明るみ、朝霧がたつ。

 

遠くの大通りに、一粒のサーチライトが灯る。

溜息と虚無感が静寂の中に響く。

 

 

 

小さなニューヨーク。

 

 

僕の中では、そんな感じ。

 
ルート26

ROUTE 32 のA、B、Cの3部作。

ラストはタイトルでもある、ルート26。

僕が26歳に書いた曲で、2ndアルバム"ルート26"に収録されています。

 

 

"才能のあるミュージシャンは、27歳辺りで死ぬんだよ"

 

 

という、僕に音楽の基礎を埋め込んだ、とある先輩が言いました。

その影響もあり、70年代の音楽にどっぷりハマり込みました。

僕はとにかく生意気で、卑屈で、理屈っぽい20代前半でした。

 

 

"27歳になった時には東京にいるんだ"

 

 

と、音楽を始めたこの頃、行末を強く決めていました。

結果、その意志は26歳になった時にもブレることはありませんでした。

 

当時、brother chipというシティポップユニットで活動し、傍らソロ活動もしてました。

相方のマイケルと話し合い、27歳を目前に、ひとり東京へ旅立つ事になりました。

 

その際、ふと、書いてみようかなと思い立ち、生まれた曲がルート26です。

 

 

"あの頃をもう一度、振り返れば二度と進めない様なそんな気がしているんだ、今は"

 

 

大学卒業とともに、家族に頭を下げ、内定をキャンセルし、実家を出ました。

名古屋の烏森という近鉄線沿線でひとり暮らしをしながら、僕の音楽活動がスタートしました。

 

家賃5万円、初任給7万円。

 

一人暮らし一ヶ月目から洗練を受けます。

どう切り抜けたのかは覚えがないけど、きっと何とかなったんでしょうね。

公共料金が何なのかすら分からないままスタートした記憶があります。

そんな第二の地元になった烏森の隣駅に"黄金(こがね)"と言う駅があります。

そこの陸橋が好きで、良く街を眺めに行ってました。

 

黄金陸橋の坂道の脇に、立派な一本の桜の木がありました。

そこから見える夕陽に、僕は故郷や家族を想いました。

そして、ウブ毛のはえた沢山の曲が生まれました。

 

 

"桜舞う街角  見慣れた坂道も  何一つ変わる事ない景色に  そっと僕は手を振る"

 

 

33歳を目前に、26歳の頃に書いた曲を改めてレコーディングする。

 

ROUTE 32のside A、B、Cのレコーディングは、振り返る先に見えてくるであろう"何か"を探す旅でもありました。

side Aのリリースとほぼ同時に、病いを患って活動休止になったこと。

共鳴し、何か連動していたんじゃないかなと思うのです。

また今回のレコ発ワンマンでは、ルート26のミュージックビデオも制作しました。

 

 

昔の自分が突然現れ、失った大切なものへと導いてくれる。

 

そんなショートムービーになっています。

橋本康史 Official site